インドNGO事情
NGOの法人格
インド政府援助受け取りガイドラインの制定とその影響
NGOダイレクトリー
ネットワークNGO

インドのNGOに関する情報

 インドNGO事情

  日本では、NGOは国際協力に携わる非営利の民間団体、NPOは国内において社会的活動を行う非営利の民間団体、という区別が一般的です。しかし、インドのような援助の受け手である途上国においては、NGOといった場合、「国際協力に携わる」という区分けがしにくくなります(援助の受け手から送り手へと変貌を遂げつつあるインドにおいて、近隣諸国への援助を志向するNGOも存在します)。また、インドにおいては私企業や宗教団体もこのNGOのカテゴリーに含まれることもあります。ゆえに、本ホームページではインドのNGOを「インド国内において社会活動に携わる非営利、民間団体」という、日本におけるNGOとNPOの中間的な意味合いで用いることとします。

 さて、そのNGOですが、いったいどれだけの団体がインド国内で活動をしているのでしょう。100万団体を超えるという統計から、数万団体であるというものまで様々な統計があります。これは、NGOの登録形態が様々であること、所轄官庁が異なること、各機関がどれだけ情報を共有しているのか、そのデータも公開されていないことなどに起因しています。

Council for Advancement of Rural Technology (CAPART)は、農村開発を中心に活動するインドのNGOに対してインド政府の開発資金を提供する目的で1986年に設立された団体です。監督官庁は農村開発省。設立後3年以上の経験を持つ団体9000団体以上を登録、管轄しているといわれます。 

 またインドNGOが、外国から活動資金の支援を受ける場合、その団体はインド内務省所管の外国貢献規制法(Foreign Contribution Regulation Act,1976=FCRA)に基づく登録を求められます(後述)。この登録をしている団体は2万団体を超えているというデータがあります。いずれにしてもその実数を把握することはきわめて困難です。 

 Society for Participatory Research in Asia (PRIA)が行った調査によれば、インドの非営利セクターで働く人口は推定1940万人。成人労働者の約3.4%にあたる人々がこの分野に従事しているとされます。この内フルタイムで仕事に従事し、定期的な収入を得ているのは300万人弱。残りは若干の手当てあるいは無償奉仕活動ということでした。団体の半数は活動拠点を農村部に置いています。またこのセクターが1999-2000年に受け取った寄付収入総額は1790億ルピー。その内51%が国内の助成団体・個人からの寄付によるとの調査結果でした。


 団体数、活動資金量からみてインドはNGO大国であるといえます。その団体数、活動資金量共に現在も増加を続けているといわれますが、同時にNGOの大衆化、資金助成を求め政府側に取り込まれて活動するNGOとアドボカシーや社会運動で成果をあげるNGOとの二分化といった現象もみられるとされています。

 
 
 
 
 
 
 NGOの法人格

 インドにおいて社会活動を行う団体(NGO)の多くは政府に登録を行うことを通して法人格を持つことを勧められています。この手続きを行わない場合は公的に団体が認知されないばかりでなく、中央政府や州政府、あるいは後述する手続きによる外国からの資金協力を受けることはできないとされています。
 政府への登録は一般的には次のいずれかの法令に基づくものです。

  Indian Trust Act, 1882
  Societies Registration Act, 1860
   
  これ以外に・・・
  Charitable and Religious Trust Act, 1920
  Religious Endowments Act
  Companies Act, 1956(under section 25 as non-trading company)
  Cooperative Societies Act, 1926
  ・・・があります。

 上記の内、もっとも多い形態がSocieties Registration Actに基づく団体、次に続くのがIndian Trust Actに基づく団体です。前者は団体設立にあたり最低7名の設立者、後者は最低2名の設立者が必要とされています。外国人がその設立者にはなることは法律上可能とされてはいますが、その場合にはインド国内に長期に渡り居住していることが条件とされ(実態としては数年程度の滞在では認められない)、外国NGOによる現地法人の設立はきわめて困難です。

 また、外国より資金の提供を受ける場合は、インド政府内務省所管の外国貢献規正法(Foreign Contribution Regulation Act=FCRA)に基づく登録が求められます。FCRAは専用の銀行口座を開設し、その口座を通してのみ外国からの資金を受け取るように定めるもので、この口座を管理することを通して内務省は団体への外国からの資金の流れを管理します。団体には毎年の報告も義務付けられています。

 

 インド政府援助受け取りガイドラインの制定とその影響

 2003年6月インド政府財務省は、それまでの対外援助依存を見直し、「日、英、独、米、露並びにECを除く2国間ドナーからの援助受け取りを停止する。上記のドナー以外からの小額援助については今後は中央、州、いずれの政府も通さずに直接、受け取り手であるインドNGO等に送られることになるであろう。」と発表しました。その後2004年9月に、受け取りを継続するドナーは日、英、独、米、露に仏、伊、加を加えたG8とECに拡大されましたが、これに含まれない欧州等の小規模ドナー国の中にはインドからの全面撤退を決めた国もあります。日本に対しては2003年10月インド政府より口頭で、無償資金協力、技術協力について従来通り受け取る旨発言がありました。これにしたがってJICAのNGO支援スキームである草の根技術協力事業を通して日本のNGOが事業を行う場合も、従来通り、インド政府からの承認を経てから実施されることが確認されています。

 

 
 NGOダイレクトリー

インドにおいて様々な形態で活動するNGO全てを統括する機関は存在しません。したがってそのすべてを網羅するダイレクトリーも存在しませんが、数あるNGOの情報を網羅しデータベース化し、ウェブ上で提供しようという試みもあります。以下はそのような取り組みの一部です。

 http://pcserver.nic.in/ngo/
インド政府計画委員会(Planning Commission)が、州政府、中央官庁等からの情報を元に作成した、Voluntary Organizationのデータベース。所管官庁別、州別に検索できる。計画委員会のウェブサイト(http://planningcommission.nic.in/)からもリンクされている。但し、ウェブサイト上で但し書きされているように、被記載団体が計画委員会によって推薦・保証されているものではない。

CAF India - The NGO Directory
 イギリスに本部を置くCharities Aid Foundation(CAF)は、ドナー団体/寄付者とNGO/慈善団体をつなぎ、より効果的なファンドの流れを作ることを目的として活動をしている団体。インドにおいても支部があり、サイト内にはインド国内の団体のダイレクトリーがあります。分野別検索も可能。

IndianNGOs.com
 インドの社会開発セクターにおけるオンライン・データベース、情報交換の窓口となることを目指して設立されたサイト。有料(一部無料)で閲覧できる1万団体のプロフィールの他、人材募集、プロジェクト・プロポーザル、税制、団体の信頼性に関する指標、その他の多彩な情報を網羅しています。

Indiserve
 上述のIndiaNGO.comの関連団体。海外も含めた希望者に対してボランティア活動の機会を提供することを目的に運営されているサイト。インドの団体から出されたボランティア人材募集情報を掲載しています。

ICICI Communities
 インドの大手民間銀行 ICICI Bank と非営利団体GIVE Foundation が提携して作成したポータルサイト。GIVE Foundation によるオンライン寄付ページ、Craftsbridgeによる農村住民がつくったハンディクラフト買物ページ、MITRA Technology Foundationによるボランティア活動機会紹介ページ(iVolunteer)、 CCDSによるインドの社会開発セクター情報ページ(InfoChange)がある。

http://www.karmayog.org/
 ムンバイに本部を持つR. O. Somani Charitable Trustが運営するウェブサイト。ムンバイを中心として、全国のNGOのディレクトリーがあるほか、NGOとドナー双方にとって有用な、NGO活動支援のための情報も充実している。特にムンバイ周辺のインドのNGOの情報を探す場合や、これからムンバイで活動しようとする日本のNGOにとって有益と思われる。

 

 
 ネットワークNGO

 インドにおいて様々な形態で活動するNGO全てを統括する機関は存在しない、と前述しましたが、特定の分野、活動方針、地域課題などを共有する団体間のネットワーク団体は多数存在します。実際にはそのようなネットワークには一切属さない団体、複数のネットワークに加盟する団体など様々です。ウェブ上からアクセス可能ないくつかのネットワーク団体を以下に紹介します。

Voluntary Action Network India (VANI)
 国内23州の222団体、22のネットワーク/連合体、42人の個人から構成されるネットワーク団体。NGO・開発セクターに関するアドボカシー、団体間の連絡調整、NGOの活動振興を目的として活動を行っています。ウェブサイトから加盟団体の活動概要を知ることができます。またVANIは2000年10月より国連社会経済理事会(UN-ECOSOC)の諮問団体としての資格を得ています。

Voluntary Health Association of India (VHAI)
 1970年設立の地域保健を軸としたネットワーク団体。国内24州にVoluntary Health Associationsを持ち、その傘下に4000を超える保健医療団体をもっています。同団体は、笹川平和財団(The Sasakawa Peace Foundation)と共同で、インドにおけるNGOの情報サイトOnline Resource Centreの運営も行っています。

Disability India Network
 全国レベルで活動するNGO、Society for Child Developmentが運営するサイト。障害者支援にかかわる国内外3000団体のデータをウェブ上で閲覧できます。障害分野にかかわる法制度、ニュース記事検索も可能。


 
参考文献:
斉藤千宏編著『NGO大国インド』明石書店、1997年
GAP(国際公益活動研究会)監修『アジアのNPO』アルク、1997年
S.S.Srivastava, Rajesh Tandon, "How Large is India’s No-Profit Sector?", Economic and Political Weekly, May 7, 2005
 
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